『菊谷正人先生古稀記念論文集』
(税務経理協会、平成31年3月30日)
はしがき
菊谷正人先生古稀記念論文集の刊行に際して
法政大学大学院経営学研究科教授・会計学博士 菊谷正人先生は、平成30年8月27日に古稀を迎えられました。
本書は、菊谷先生の古稀を記念して、国士舘大学大学院と法政大学大学院で指導を受けた弟子(大学教員、公認会計士、税理士)および先生と学問的親交の深い研究者によって分担執筆された古稀記念論文集です。先生の研究領域が会計学と租税法に及ぶために、本書は「第一部 会計学における現状と課題」および「第二部 租税法における現状と課題」の二部構成になっています。
菊谷正人先生は、中央大学商学部では故稲垣冨士男博士により米国の連結会計制度・会計史、明治大学大学院商学研究科では故不破貞春博士によりドイツ実体維持会計学説・米国会計学説、英国・エクセター大学留学時(昭和61年4月~昭和63年3月)にはRobert H.Parker博士により英国会計制度・比較会計制度論の薫陶を受け、重厚かつグローバルな会計学説・会計思考を身に付けられました。その集大成として、平成3年11月に『企業実体維持会計論―ドイツ実体維持会計学説およびその影響―』(同文舘)を上梓され、翌年3月に中央大学で論文博士号(博士(会計学):商博乙第58号)を授与されています。その後も、会計学のみならず租税法の研究にも没頭され、会計学・租税法に関する数多くの著書・論文を公表されています。
菊谷先生の主要な研究テーマである会計測定論の研究成果は、膨大な原書を丹念に読み、その批判的な摂取を通じて構築されたものです。たとえば、『企業実体維持会計論―ドイツ実体維持会計学説およびその影響―』では、ドイツ実体維持会計学説と英国型時価主義(「企業にとっての価値主義」あるいは「喪失価値説」)を援用され、独自の学説として➀棚卸資産の期末評価基準に「時価・時価低価法」(再調達原価と正味実現可能価額の低価法)、②有形固定資産の減価償却に平均時価法、③棚卸資産の原価配分法に個別法による時価・売上原価算定法(または期中平均時価・売上原価算定法)等を展開されています。
菊谷先生のもう一つの主要な会計研究テーマである国際会計論では、国際会計基準委員会(IASC)の1971年設立当初から逸早く、国際会計基準(IAS)の研究、外貨換算会計・企業結合会計・連結会計・IASC概念フレームワーク等の研究に着手され、数多くの著書・論文において自説を開陳されています。菊谷先生は、正にわが国における国際会計研究のパイオニアのお一人でありますが、同時に、海外における日本会計制度に対する研究の動向にも目を向けられ、海外研究者とりわけ英国・エクセター大学のTerrence E.Cooke教授との共同研究は、下記の共同著作として実を結びました。
英国のイングランド・ウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)の研究審議会(Research Board)による選考・研究委任・資金給付・査読後に上梓されたFinancial Reporting in Japan : Regulation , Practice and Environment(T.E. Cooke 共著,Blackwell in association with the ICAEW,1992)は、英国会計学会(British Accounting Association:BAA)の年報British Accounting Review(1992,pp.386-388)における書評をはじめ、英国の学術誌Accounting and Business Research(Autumn 1992,pp.277-278)、Accounting, Business & Financial History
(1993,Vol.3No.1,pp.112-114)および米国の The Accounting Review (April 1993,pp.425-426)における書評で紹介され、英・米会計学会で高く評価されています。なお、一般専門誌のCertified Accountant(May 1992,p.56)では、最高ランクのSpecialist四ツ星と評価されていました(同時掲載のPeter F.Drucker著 Managing for the Future,the 1990s and Beyond(Butterworth Heinemann,1992)は三ツ星、Belinda Coote著 The Trade Trap,Poverty and the Global Commodity Markets(Oxfam Publications,1992)は四ツ星でした)。
さらに、Accounting,Business & Financial Historyや Acquisitions Monthlyの英国雑誌、大学の機関誌等にも英文論文を寄稿されるとともに、国内外の学術誌のレフェリーを依頼され、国際的に活躍されております。近年、会計基準のコンバージェンスに対応できる研究へと研究の輪を広げられ、加えて、独自の学説として外貨換算会計・企業結合会計・連結会計分野において、➀外貨表示財務諸表を時価で再評価した後に決算日レート法で換算する「個別価格修正・再評価後換算法」、②企業結合時に取得企業における資産・負債も時価で再評価した後にパーチェス法を用いる「公正価値パーチェス法」、③支配獲得時および支配獲得後にも再測定差額を資本剰余金に計上する「段階取得・追加取得における再測定差額の資本剰余金計上説」を提唱されています。
菊谷先生の租税法研究に関しては、その集大成として平成20年4月に『税制革命』(税務経理協会)が公刊され、「収得税・消費税減税と財産保有税増税」を基調としながら、わが国で社会問題化している経済的格差(富・所得の格差)、少子・高齢化、地球環境破壊等を解決する方策のための税制改革案が提言されています。たとえば、➀少子化対策のための所得税減税策として「家族単位合算課税」(N分N乗方式)または扶養控除の税額控除化、②法人税の課税公平を図るための方策として法人税の益金課税(外形標準課税による売上収入税の新設・追加課税)、業種別複数税率の設定、時価減価償却またはキャピタル・アローワンスの導入、③消費税の益税解消策と逆進性緩和策として簡易課税制度の廃止、インボイス方式の導入、複数税率化とスリースター貼付制の導入、④資産再分配機能を有効に発揮できる方策として金融資産保有税の新設、富裕税の再導入、⑤環境保護税制として環境負荷物質の環境負荷係数に応じて徴収する環境負荷税の新設、環境保護国際機構の創設、⑥租税制度上の整備・改善のために納税者オンブズマン制度の創設、租税警察の設置、税理士CPE制度の導入等が考案・主張されています。
このように、菊谷先生は多大な研究業績を公表されてきましたが、大学教育、特に大学院教育にも大きな情熱を傾けてこられました。近年、大学院教育では、研究者養成のみならず、高度専門職業人の養成も重要な社会的使命となっております。菊谷先生は、税理士試験における「学位取得による試験科目の免除制度」の社会的意義を重視され、大学院教育を行ってこられました。その結果、大学院修了者の中から多数の税理士が輩出し、現在、全国で活躍しています。
周知のとおり、税理士試験科目の免除制度は会計学と租税法の二つの領域に分かれています。双方の領域に数多くの研究業績を公表されている菊谷先生は、時期を異にしてではありますが、会計学と租税法の双方の領域で免除者を出しておられます。現時点における大学教員で、双方の領域で免除者を出しておられるのは、おそらく菊谷先生お一人と思われます。会計学および租税法についての深い学識を背景として菊谷先生から発せられた「適正公平な会計制度・租税制度が社会正義を実現する」とのお言葉に感銘を受け、厳しくも愛情あふれる御指導を受けて税理士となった弟子達は、その社会的使命を胸に秘め、民間の側で租税制度を担うことを通じて社会に貢献すべく努力しているものと思います。
菊谷先生の学会活動・社会活動としては、財務会計研究学会会長、グローバル会計学会会長および租税実務研究学会会長を歴任され、日本会計研究学会・国際会計研究学会・日本簿記学会・日本社会関連会計研究学会・日本租税理論学会では理事、日本会計研究学会・国際会計研究学会では学会賞審査委員を歴任されていました。それぞれの学会では、統一論題・自由論題報告、司会のほかに、研究グループ(主査)にも参画し、絶えず前向きな研究姿勢を堅持され、若手研究者の育成等のためにも献身されています。なお、平成9年度から平成12年度には、公認会計士第二次試験試験委員に就任されています。
菊谷先生は、中学・高校・大学の学生時代には剣道・空手(ともに有段者)で身体を鍛え、大学院生時代には鎌倉の円覚寺僧堂・居士林で朝比奈宗源老師・足立大進老師に師事・参禅し、精神を鍛練されたそうです。したがって、文武両道を地で行く武士のように、御自分には厳しく処せられる反面、我々不肖の弟子を含めて他人に対してはきわめて寛大であり和やかに応対され、また個人的問題にまで懇切丁寧に御配慮を頂いております。ただし、学問に対しては峻厳に取り組まれていますので、時には厳しい指導を受けたこともあります。他方、酒席では豪放磊落に歓談され、非常にためになる人生訓を賜っておりました。
本書の刊行に際しては、多くの方々にお世話になりました。ご多忙にもかかわらず執筆して頂いた先生方には、厚くお礼申し上げます。また、菊正会(大学院で菊谷先生から指導を受けた修了生を中心とした懇親の会)の有志により多大な援助を賜りました。ここに記して、御芳情に対し深甚なる謝意を表します。さらに、本書の出版を快諾して頂いた(株)税務経理協会社長の大坪克行氏の御厚情、企画・編集・校正で何かと面倒をおかけしましたシニア・エディタ-の峯村英治氏の御厚意に対して、深くお礼申し上げます。
最後に、菊谷正人先生の学恩に感謝の意を表するとともに、先生の一層の御健勝・御平穏を祈念して、本書を謹んで先生に奉呈したいと存じます。
平成30年臘月8日(成道会)
菊谷正人先生古稀記念出版委員会
石山 宏 井上行忠 一由俊三 肥沼 晃 酒井翔子
澁谷 和 副島正雄 南井 勝 依田俊伸
執 筆 者 一 覧(執筆順)
≪第一部≫
菊谷正人(法政大学大学院経営学研究科教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・第1章
大下勇二(法政大学経営学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2章
松井泰則(立教大学経営学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第3章
近田典行(目白大学経営学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第4章
神谷健司(法政大学経営学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第5章
佐々木隆志(一橋大学大学院経営管理研究科教授)・・・・・・・・・・・・・・・・第6章
坂上 学(法政大学経営学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第7章
古庄 修(日本大学経済学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第8章
井上行忠(嘉悦大学経営経済学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第9章
鳥飼裕一(東洋大学経営学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第10章
岸 牧人(法政大学経済学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第11章
石山 宏(山梨県立大学国際政策学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・第12章
西山一弘(帝京大学経済学部准教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第13章
吉田智也(中央大学商学部准教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第14章
松下真也(松山大学経営学部准教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第15章
有泉正樹(公認会計士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第16章
鈴木聡一郎(公認会計士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第17章
高野裕郎(法政大学大学院経営学研究科博士課程、公認会計士) ・・・・・・・・・第18章
神野和昭(法政大学大学院経営学研究科博士課程) ・・・・・・・・・・・・・・・第19章
≪第二部≫
菊谷正人(法政大学大学院経営学研究科教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・第20章
依田俊伸(東洋大学経営学部教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第21章
長島 弘(立正大学法学部准教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第22章
金子友裕(東洋大学経営学部准教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第23章
酒井翔子(嘉悦大学経営経済学部准教授) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第24章
許 英姿(明治大学商学部兼任講師) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第25章
一由俊三(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第26章
肥沼 晃(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第27章
南井 勝(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第28章
二宮英徳(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第29章
澁谷 和(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第30章
神保 集(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第31章
副島正雄(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第32章
齋藤一生(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第33章
佐野哲也(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第34章
小林義和(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第35章
来住野 聖(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第36章
山取大希(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第37章
梅田裕紀(税理士) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第38章
菊谷正人先生古稀記念論文集の刊行に際して 菊谷正人先生古稀記念出版委員会・ⅰ
第一部 会計における現状と課題
第1章 わが国財務会計制度における国際化の経緯と課題 菊谷正人
I. 開 題・3
Ⅱ.他者依存志向国際化期における財務会計制度の展開
―第一次会計革命期におけるわが国財務会計制度の特徴―・4
Ⅲ.覇権志向国際化甘受期および国際的調和化期における財務会計制度の展開
―第二次会計革命期におけるわが国財務会計制度の特徴―・8
Ⅳ.会計基準の国際的収斂期における財務会計制度の展開
―第三次会計革命期における重層的会計基準設定の特徴―・14
V. む す び ―第三次会計革命期におけるわが国財務会計制度の対応・23
第2章 ミクロ財務的観点とマクロ経済的観点の統合
―フランス型会計システム― 大下勇二
Ⅰ. 社会制度化された純利益概念・29
Ⅱ. フランス会計基準におけるマクロ経済指向の計算構造・31
Ⅲ. ミクロ財務的観点とマクロ経済的観点の統合・35
第3章 わが国からみた今後のIFRSとの対峙
―菊谷学説からの知見― 松井泰則
Ⅰ.IFRSの特性
―変化するステークホルダーの心理との関係性において―・41
Ⅱ.わが国からみた今後のIFRSとの対峙・51
Ⅲ.む す び・57
第4章 建築物の所有権と工事契約会計 近田典行
Ⅰ. 考察の視点・61
Ⅱ. 建築請負契約の意義と特質・61
Ⅲ. 所有権の帰属の視点からの再定義・64
Ⅳ. 工事契約と収益認識基準のフレームワーク・67
Ⅴ. 工事契約会計における収益認識基準の再構成・70
第5章 私立大学会計の本質と課題 神谷健司
Ⅰ.はじめに・73
Ⅱ. 学校法人会計基準の設定・73
Ⅲ.現行の学校法人会計基準・75
Ⅳ.大学経営環境の変化と大学会計の課題・78
第6章 実体資本維持論に関する一考察
-シュマーレンバッハ物価変動損益計算論を拠り処として- 佐々木隆志
Ⅰ.は じ め に・83
Ⅱ.実体資本維持概説・83
Ⅲ. シュマーレンバッハ動的貸借対照表論旧版に見る物的価値変動調整・85
Ⅳ. む す び・94
第7章 ブロックチェーンにおける三式簿記の意義 坂上 学
Ⅰ.は じ め に・97
Ⅱ.ブロックチェーンの仕組みと構造・98
Ⅲ.ブロックチェーンにおける取引データの記録・100
Ⅳ.井尻[1984]における時制的三式簿記・104
Ⅴ.ブロックチェーンに三式簿記を導入したのは誰か・104
Ⅵ.お わ り に・106
第8章 財務報告の境界と経営者による業績指標の開示規制 古庄 修
Ⅰ. は じ め に・109
Ⅱ. 財務諸表外情報における代替的業績指標と開示規制・110
Ⅲ. IASBにおける開示原則の検討と基本財務諸表プロジェクト・113
Ⅳ. 財務諸表における「経営者による業績指標」の表示問題・116
Ⅴ. お わ り に ―任意開示と開示規制の交錯―・119
第9章 のれんに関する税効果会計の論点 井上忠行
Ⅰ. は じ め に・123
Ⅱ. 子会社株式の取得に伴い発生したのれんの税効果・124
Ⅲ. 税務上のれん資産「負債」調整勘定・130
Ⅳ. お わ り に・132
第10章 ビッグデータ、AIと監査の品質の向上 鳥飼裕一
Ⅰ. は じ め に・135
Ⅱ. ビッグデータ、AIをどのように理解すべきか・136
Ⅲ. 監査への利用可能性・138
Ⅳ. む す び・145
第11章 会計上の見積りにおける監査証拠の評価 岸 牧人
Ⅰ. は じ め に・149
Ⅱ. 財務諸表監査の立証構造における会計上の見積りの特質・150
Ⅲ. 二つの系列の監査手続と監査証拠の属性・152
Ⅳ. 監査人の見積額と見積りの許容範囲・155
Ⅴ.む す び・158
第12章 収益認識会計基準導入にかかる簿記的考察 石山 宏
Ⅰ. は じ め に・161
Ⅱ. 収益認識会計基準の定め・162
Ⅲ. 佐々木[2014]における収益認識のための観念的仕訳・163
Ⅳ. 商品の販売取引(支配が一時点で移転する取引)における設例・165
Ⅴ. 商品の販売と保守サービスの提供取引(支配が一時点および一定期間
で移転する取引)における設例・171
Ⅵ. む す び・174
第13章 企業実体維持と損益計算 西山一弘
Ⅰ.は じ め に・177
Ⅱ.Gyntherによる企業実体維持の論拠・178
Ⅲ. 取替原価による保有損益の取扱い・180
Ⅳ. ま と め・186
第14章 政府会計における非交換取引収益の認識
―GASB基準書第33号「非交換取引に関する会計・財務報告」の分析― 吉田智也
Ⅰ.問題提起・189
Ⅱ.政府会計における「非交換取引」に関する諸定義・190
Ⅲ.非交換取引における認識・192
Ⅳ.非交換取引の会計処理・193
Ⅴ.ま と め・198
第15章 実態開示型時価主義会計における二分類 松下真也
Ⅰ. 問 題 提 起・201
Ⅱ. 分析の視点・203
Ⅲ. Edwards and Bell[1961]とBedford[1965]の分析・206
Ⅳ. 比較・分析― むすびに代えて・210
第16章 段階取得に係る会計処理における現状と課題 有泉正樹
Ⅰ.問 題 の 所 在・213
Ⅱ.被取得企業の取得原価の決定方法・214
Ⅲ.再測定差額の会計処理・217
Ⅳ.「段階取得に係る差損益」の計上事例・219
Ⅴ.む す び・222
第17章 完全情報ゲーム化する財務諸表監査に関する展望 鈴木聡一郎
Ⅰ.不完全情報ゲームと財務諸表監査・225
Ⅱ.財務諸表監査にAIを適用する際の留意点・227
Ⅲ.財務諸表監査にAIを適用する場合に会計士が担うべき役割・231
第18章 戦前期におけるわが国会計制度に関する一考察
―「日本型」会計制度への調整段階を中心に― 高野裕郎
Ⅰ. は じ め に・235
Ⅱ. 英国式財務会計制度の移植・導入および明治商法の導入・235
Ⅲ. 商法改正および商工省「財務諸表準則」・237
Ⅵ. 戦時経済統制下における会計制度・239
Ⅴ. む す び・242
第19章 有形固定資産の交換による取得原価の算定 神野和昭
Ⅰ. は じ め に・247
Ⅱ. 交換による有形固定資産の取得原価の種類・247
Ⅲ. わが国における交換による取得原価の算定・249
Ⅳ. 国際会計基準第16号における交換による取得原価の算定・250
Ⅴ. 「連続意見書第三」と「国際会計基準第16号」との比較・251
Ⅵ. 交換による取得原価の算定に関する理論的検討-むすびに代えて-・252
第二部 租税法における現状と課題
第20章 国際課税における現状と課題
―国際的二重非課税に対する対抗策― 菊谷正人
Ⅰ. は じ め に・259
Ⅱ. 国際課税における現状・260
Ⅲ. 国際課税における課題・265
Ⅳ. む す び・269
第21章 生命保険契約に関する課税上の取扱い
―逆ハ-フタックスプランを中心として― 依田俊伸
Ⅰ. は じ め に・275
Ⅱ. 法人税基本通達による養老保険に係る生命保険料の取扱い・277
Ⅲ. 「逆養老」についての最高裁判決の概要・279
Ⅳ. 「逆養老」についての合理的な取扱いの模索・282
第22章 国税通則法改正以後の税務調査手続の問題点
―質問検査権の行使と行政指導― 長島 弘
Ⅰ.は じ め に・285
Ⅱ.通則法改正前における税務調査に関する定め・286
Ⅲ.税務調査・287
Ⅳ.行政指導・294
Ⅴ.国税通則法66条1項による「調査」と質問検査権の行使による「調査」・297
Ⅵ.む す び・298
第23章 法人税法における貸倒引当金の意義 金子友裕
Ⅰ. は じ め に・301
Ⅱ. 企業会計における変動対価・301
Ⅲ. 法人税法の対応・302
Ⅳ. 法人税法における貸倒引当金・304
Ⅴ.お わ り に・309
第24章 消費課税の現状と課題
―欧州諸国の議論を中心として― 酒井翔子
Ⅰ. は じ め に・313
Ⅱ. 欧州付加価値税の導入経緯・314
Ⅲ. 消費課税の特徴と課税ベースとしての有用性・315
Ⅳ. EU型付加価値税に関する議論・316
Ⅴ. 消費課税の新展開・321
Ⅵ. む す び・322
第25章 中国の企業所得税法における変遷と特徴 許 英姿
Ⅰ. 憲法における課税の規定・327
Ⅱ.主な税収の概要・330
Ⅲ.企業所得税法の変遷と特徴・331
Ⅳ.む す び・337
第26章 相続・贈与等の富の移転に係る課税における課題 一由俊三
Ⅰ.は じ め に・339
Ⅱ.先進国における相続課税制度の沿革・339
Ⅲ.英国における資産課税制度改革論・343
Ⅳ.む す び・347
第27章 代償分割による取得資産の譲渡課税における現状と課題 肥沼 晃
Ⅰ. は じ め に・351
Ⅱ.譲渡所得の本質と取得費・352
Ⅲ. 代償分割の支払代償金と取得費該当性の事例・354
Ⅳ.代償分割における代償金の取得費該当性・357
Ⅴ. む す び・360
第28章 自己株式のみなし配当課税における現状と課題 南井 勝
Ⅰ. は じ め に・363
Ⅱ. 自己株式のみなし配当に関する変遷・364
Ⅲ. 自己株のみなし配当に関する問題点・367
Ⅳ. 配当等の益金不算入制度の趣旨・369
Ⅴ. 自己株式のみなし配当に関する所得税法上の問題点・371
Ⅵ. お わ り に・371
第29章 有料老人ホームの入居に伴う課税問題 二宮英徳
Ⅰ. は じ め に・373
Ⅱ. 老人ホーム入居一時金の税務処理・374
Ⅲ. む す び・382
第30章 DESの課税における現状と課題
―中小企業における税務処理を中心としてー 澁谷 和
Ⅰ. は じ め に・385
Ⅱ. DESの概要・386
Ⅱ. DESにおける会計上と税務上の取扱い・389
Ⅲ. 中小企業のためのDESに関する提言―むすびに代えて―・392
第31章 繰越欠損金に対する税務処理における現状と課題 神保 集
Ⅰ. は じ め に・395
Ⅱ. 現行法による欠損金の繰越控除制度の概略と沿革・395
Ⅲ. 諸外国における欠損金の繰越控除・398
Ⅳ. む す び・401
第32章 書面添付制度の現状と課題
―中小企業における書面添付の有用性― 副島正雄
Ⅰ. は じ め に・405
Ⅱ. 書面添付制度の沿革・406
Ⅲ. 税理士に求められる業務の拡大・410
Ⅳ. わが国における書面添付制度に対する提言・411
第33章 土地の取得費の課税に関する一考察
-取得費が不明である場合- 齋藤一生
Ⅰ. は じ め に・415
Ⅱ. 概算取得費による計算・416
Ⅲ. 借入金額からの取得費の推計・417
Ⅳ. 市街地価格指数を利用した推計方法・418
Ⅳ. 妥当な推計方法・422
Ⅴ. お わ り に・423
第34章 消費税の軽減税率制度導入に伴う課題
-税額計算の特例を中心として- 佐野哲也
Ⅰ. は じ め に・425
Ⅱ. 区分記載請求書等保存方式・426
Ⅲ. 税額計算の特例・429
Ⅳ. 税額計算の特例を用いる場合における検討事項・429
Ⅴ. 今後の課題・433
第35章 法人税法における中小法人の取扱いにおける現状と課題 小林義和
Ⅰ. は じ め に・435
Ⅱ. 中小法人税制の現状・436
Ⅲ. 中小法人税制に関する議論の変遷・439
Ⅳ. 中小法人税制の課題・442
第36章 小規模宅地等の特例課税に関する一考察 来住野 聖
Ⅰ.は じ め に・447
Ⅱ.小規模宅地等の特例の概要・447
Ⅲ.小規模宅地等の特例の沿革・448
Ⅳ.現行制度における課題-むすびに代えて-・450
第37章 交際費課税の変遷と課題 山取大希
Ⅰ. は じ め に・455
Ⅱ. 交際費課税の変遷・455
Ⅲ. 交際費課税に関する問題点・461
Ⅳ. む す び・462
第38章 将来における税理士の役割 梅田裕紀
Ⅰ. は じ め に・465
Ⅱ. テクノロジーの発達が税理士の業務に与える業務・466
Ⅲ. テクノロジーの発達および税理士が担うべき業務と役割・470
Ⅳ. む す び・473